解体できない建物

《現場班の報告》

5/16に近畿地方は例年より16日早く梅雨入りしました。

雨が続き、工事の進捗状況が予定より遅れてきました。

新たに嵩上(かさあ)げ工事を着工したのですが、大変狭い場所で材料を置くスペースも有りません。

鋼材の向きを変えられないくらい狭く施工しにくい場所です。

 

この建物は改修工事するにあたり、現状は1階が車庫だったのでそれほど天井が高くありません。

そのため建物を持ち上げて基礎を造り替えし、躯体を1m高くすることで天井の高さを上げる工事です。

鋼材を組んだ曳家工事に入る頃には、躯体はほぼスケルトン状態になります。

このような建物の状態を見た方から、『なぜ柱を残すの?』『解体して建替えた方がいいのでは?』という発言がよくあります。

今回の現場は昔に建てられており、敷地いっぱいに建物があります。

当時は建てられた面積ですが、一旦解体すると現在の法律では建物面積が小さくなってしまいます。

現在の建物面積を維持するために、柱と屋根をそのまま利用し現状の建物を改修しますので、

道路後退や建ペイ率、容積率などの問題を避けられます。

 

相当古い建物ですので柱の腐食や梁の傷みなどに注意しながら建物を持ち上げます。

柱の根継ぎも必要と思われるのでGL(グランドライン又はグランドレベル=地盤面の高さ)+1000(1m)の高さで鋼材組付けを行いました。

路地は近所の方が通れる通路分を残して井形セイロ養生を組付けます。

近隣の方々のご協力が無ければ、中々難しい作業になったと思われます。

ご不便をおかけします。ご協力に感謝申し上げます。

 

建物とセイロ養生の距離はほぼ無いですが、何とか基礎型枠を組付けられるようにしています。

今回のような比較的軽い建物は、分流器を使用して油圧ジャッキを上げるとスムーズに持上がる箇所と上がりにくい箇所が発生します。

余りにも建物が軽すぎるとこのようなことが起こるので、今回は7連同調油圧ポンプを使用しました。

各ジャッキを分流器を使用せず単独で操作することで、同じストロークを伸ばすことが出来ます。

傷みが多い建物は不陸が出ると破損の可能性もあり、作業もより慎重になります。

元請様に1m上げの確認をしていただき、養生の仮置きをしながら業者様施工の基礎完成を待ちます。

後日、基礎完成後に据付け工事をさせていただく予定です。

 

弊社はどのような条件でも施工提案をさせて頂きます。

無理かと思うような曳家工事や、元に戻らないかもと諦められている沈下修正工事であっても、

一度お気軽に問い合わせください。

施工方法をひねり出します。

 

 

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